【量子物理実験システム】
パリ・サクレー大学での"Kwanteach"導入事例
フランスのKwan-Tek社は、ダイヤモンドNVセンタ技術を核とするシステムを開発しております。今回は地元パリ・サクレー大学に量子物理実験学習キット「Kwanteach」を納入しました。その背景と意義についてご紹介いたします。
メーカー
Kwan-tek(フランス)
"Kwanteach" 開発背景
"量子技術"という言葉が世の中に現れ、ここ10年間は40年に及ぶ国際的な科学技術研究を描写する言葉として使われている。そして世間にインパクトを与える技術として進歩している。量子技術は、活用事例のカテゴリーを反映した異なる分野に分類される。それは基本量子現象の探求で、量子センシング、量子コンピュータ・シミュレーション、量子通信といったアプリケーションである。
量子技術の核となる基本現象は、個別のエネルギー準位がコンセプトであり、量子重ね合わせ、もつれ、物と電磁場間のインターアクションがある。これらのアプリケーションは共通のサブシステムまたは技術を実現するものを製作する技術を共有している。(レーザー、フォトディテクタ、真空製品、極低温製品、光ファイバなど)
活用事例の明瞭化と技術開発の他に、異なるレベルでの学生の教育の必要性が急務となってきた。同様の問題は中小および大企業でも起こっている。量子技術に関連させて組織をアップデートさせ、これを機会と捉えて積極的に行動を起こしている。
この量子技術の教育の流れでは、教育者は量子技術の裏にある理論を説明する実際的なトレーニングを提案することが重要である。典型的なトレーニングセッション(約4〜8時間)は、コンピュータでシミュレーションをするよりも装置を操作し現象を体験することにより量子物理学の基本概念を理解できる。大学教授と教育関係者は理論的概念と実際のトレーニングをミックスさせることにより、教育がとても効率的になることを実感している。
この事がKwan-Tekが量子物理実験システム"Kwanteach"を大学・大学院向けに開発した理由である。本システムはモジュール構成で様々なレベルの学生に合わせてトレーニングを行うことができる。量子技術の裏にある基本を理解することができ、特に量子コンピュータと量子センシング・計測に関する「量子ビットとは何か」を学ぶことができる。
光-物質間の相互作用、エネルギー準位、原子のファイン・ハイパーファイン構造、単一量子ビット駆動、量子システムのコヒーレンスとは何か?ダイヤモンド内NVカラーセンタが組み込まれた室温駆動・真空不要の本量子システムがソリューションとなる。
KwanteachシステムのコアとなるNVテクノロジーは、量子コンピュータと量子センシングに使われている基本概念を説明する事ができる。さらにエンジニア教育で不可欠なシステムエンジニアリングの重要性について視覚化および理解を促進することが可能である。
Kwanteachシステムは学生または教育者によってブレッドボード上に組み上げられた、実現技術を反映している一連の要素である。ユーザーマニュアルにその手順が、技術マニュアルには実際の測定と理論をリンクさせて説明されており、教育者にとって講義を詳しく説明するの基本ツールとなる。4時間のセッションは修士1レベル、8時間のセッションは修士2および博士課程の学生向けである。いくつかあるオプションは、数日間に渡る継続トレーニングで学生またはエンジニア向けの小さなプロジェクトをより深く掘り下げることができる。それゆえKwanteachは量子技術の実際的な学習の世界的ニーズに応えるシステムである。1つの装置のみで量子技術の概念の大部分を網羅しており、次世代の量子エンジニアを育成に貢献する事ができる。
事例研究 : パリ・サクレー大学でのKwanteach導入
大学チーム
- Miguel MONTEVERDE, 上級講師、量子ビットプロジェクト
- Edwin KERMARREC, 上級講師、物理測定・量子実験担当
- Kyriaki SAMIOTI, 博士課程、NVセンタ専攻
環境
パリ・サクレー大学は研究および指導で高名な大学であり、量子物理学教育の分野を強化したいと考えていた。特にMONTEVERDE氏とKERMARREC氏のチームはL3とM1の学生向けに、より実際的でインタラクティブな量子物理学を学習するための新しい実習を開発するようミッションを課されていた。博士課程のSAMIOTI氏はNVセンタを研究しており、実際的で体系的なツールを探していた。
挑戦
量子物理学の指導と教育は、独特の挑戦を有している。具体的な方法を説明する難しさと概念の複雑さだけでない。現在市場にあるツールは閉鎖的でシミュレータのようであり、学生が直接制御または実験できず実際的な理解を制限している。大学は具体的な方法で示してくれるソリューションが必要だった。
ソリューション:Kwanteach
KwanteachはフランスKwan-tek社開発された製品で、パリ・サクレー大学に導入された。本システムは大学のニーズに完璧にマッチした。
- フランス製 : 確かな品質とプロフェッショナルのサポート体制
- 大学生から博士課程の大学院生までのトレーニングに最適 : Kwanteachは量子概念の具体的かつ実際的なアプリケーションの学習が可能
- 幅広い範囲の教育用途 : 光制御、取扱、磁気共鳴、原子のファイン・ハイパーファイン相互作用といった基礎的な物理学概念、さらにゼーマン効果、ラビ振動・ラムゼーフリンジといった複雑な現象
- 体験的実験:室温で実験に基づいた物理学を実施できる。触って、調整して、失敗することができる開かれた実地的な概念。つまり具体的に学習できるシンプルな製品
- 開かれたツール : 競合製品と違い、Kwanteachはリアルタイムで過程を理解できる開かれた制御ツール
体験談とフィードバック
パリ・サクレー大学チームからのフィードバックはポジティブであった。以下に紹介する。
- Miguel MONTEVERDE氏 : Kwanteachは研究と学習用に開発された製品であり、具体的で実際的な使用が可能である。目に見えて興味深い内容の実習にすることは非常に重要である。
- Edwin KERMARREC氏 : 簡単に使用でき、室温駆動は異なる物質の制御を可能にする。最も効果的な学習法は「失敗」することである。Kwanteachでは、学生は間違いをして失敗を理解し、自身を正すことができる。
- Kyriaki SAMIOTI氏 : 量子物理学を理解できる、とても実際的なツールである。Kwanteachの強みはビーム光路が見えることであり、理解しやすく講義的だ。
インパクト
Kwanteach導入以来、パリ・サクレー大学はいくつか注目すべき恩恵を確認した。
- 学生の関与の改善 : 直接操作できる体験感により、学生は以前より深く関わるようになった。
- 理解の促進 : リアルタイムの過程の視覚化は量子物理学の複雑な概念を理解しやすくしている。
- 柔軟性と自主性 : 教育者と研究者は実際的な訓練を彼らの特定な目的にカスタマイズできるので、教育の質を向上させることができる。
結論
パリ・サクレー大学でのKwanteachの導入は、量子物理学の教育と研究へのアプローチを一新した。直観的で開かれた継続的なソリューションにより、大学は複雑な概念を教育する事の難しさを打破できるようになり、インタラクティブで実際的な教育環境を助長できるようになった。Kwanteachは次世代の量子物理学教育における重要な役割を担っており、自学内で革新を起こせる価値、学術的秀逸性を育む思想を証明している。
Kwan-tek
Kwan-tek社は、ダイヤモンド量子センサという革新的技術に基づいた計測学ソリューションを開発し市場に出した。様々な産業と研究用途向けの敏感で高安定な機器を提案できるメーカーである。同社の技術はダイヤモンド内の特定な欠陥を利用したものであり、高精度で磁場を計測することができる。
資料
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