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UVC光とコロナウイルス

コロナウィルス(COVID-19)― 基礎情報

コロナウィルス(COVID-19)はゲノムとしてリボ核酸 (RNA) をもつ一本鎖プラス鎖RNAウイルスです。コロナウィルスは表面の膜構造の脂質2重層を持ち、蛋白質と糖質を含む構造です。 現時点ではAmerican Ultra Violet社ではこのウィルスの菌株の研究が完了しているとは考えていません。しかし、コロナウィルスはUV-C 波長の紫外線に対して影響を受ける他のウィルスと似た構造をしています。世界保健機関(WHO)は, "コロナウィルス(CoV)は普通の風邪からもっと重大なMERS-CoV、SARS-CoVといった伝染病のウィルスの大きな括りの中のひとつで、今まで人体の中で見つかったことのない新型の菌株であるとしています。

現在、世界中でコロナウィルスの感染経路を解明しようとされています。人から人への感染が密接(6ft-1.8m)な状況下での感染者からの咳やくしゃみによる飛沫感染で、起きやすいと報告されています。これはSARSやMERS, H1N1型インフルエンザの時と同じ状況です。また、接触感染は手すりやつり革などに触れ、目や口、鼻などを触ることで感染が拡がると報告されています。

アメリカ疾病管理予防センター(Centers for Disease Control and Prevention:以下CDC)のポール・フルトン氏によると、現状、コロナウィルスの潜伏期間は14日間とされています。14日以内にテストが行われた場合は患者のその時の状態を示すものでしかなく、もしその時点で陰性の結果が出たとしても、まだ発症していないだけ、もしくは検査によって検知できないレベルだっただけということが起きている。これは、安全に対する誤った知識であり、人々に混乱を与えます。CDCがコロナウィルスを更に研究しより理解することで、最適なテストのタイミングを知ることが出来るとコメントしています。

CDCの報道インタビューより

"最も大きなリスクは感染の疑いのない患者が準備の出来ていない病院に殺到することです。"
エリック・トナー氏(主席研究員・ジョンズ・ホプキンス大学 健康安全保障センター)は CIDRAPへの寄稿の中で、 脅かすような表現ですが, 彼らはコロナウィルスの集団感染の最中にいます。勇敢な医療従事者に危険を与えようとしているのです。

"コロナウィルスに対するUV-C紫外線の照射場所は患者受付や待合室エリアです。この時点で患者がどういう状態か分かりません。待合室のような人が集まる場所はインフルエンザなど多くのの病原菌があり、エアロゾルとなり空気中に拡散し空間内に充満してしまします。病院施設はこのことに対しどのように準備が出来るでしょうか?"

"我々はあらゆる対抗策を実施します。適切なマスクや人口呼吸器の用意、症状について患者に説明するポスター、入念な手洗いの方法、そして空気と表面の殺菌用の紫外線殺菌機を用意するなどです。"

短波長紫外線 (UV-C)は標準及び入念なクリーニング方法と合わせて使用することにより多くの病原菌の殺菌に効果を証明してきました。American Ultraviolet 社は必要とされる殺菌・消毒ソリューションとしてユニークな"ヘルスケア用UV-C殺菌 4本柱" プログラムを自社開発しました。

RAM4本柱のうちの最初の一つはアッパーエア天井据え付けの殺菌ユニットです。これは"UV-C 紫外線のブランケット“とも呼べるものです。待合室、救急処置室、渡り廊下、 中央広場やその他感染者が菌を拡散させそうな場所で使用されています。

ARTZ2.0R2つ目の柱はモバイル殺菌機です。ARTZ 2.0R (Automatically Reliably Targeting Zero) モバイル殺菌機は患者のいる、またはいた環境で二次感染(HAI・SSI)ゼロを目標に開発されました。

3つ目の柱は医療施設中の空気の流れを殺菌する機器です。空気中の微生物感染媒介物はフィルターで捕らえることの出来ないとても小さなものです。しかし、UV-C紫外線ブランケットを通ることで、殺菌することが出来ます。

OR PackageOR(手術室)パッケージのUV-C殺菌は4つ目の柱です。これはいくつかの固定マウントタイプのユニットで、 既存の手術に取り付けることが可能なものです。このシステムはPC等で制御され、手術室全体を殺菌するように設計されます。手術の前・後、または2つの手術の間に素早く殺菌します。

ヘルスケア用UV-C殺菌 4本柱"は、医療施設全体と菌の感染経路をカバーします。紫外線殺菌の効果を最大限に引き出すために、その他の様々な機器を提案しています。

 

  • UV-C 紫外線 液体殺菌装置は毎分2リットルから4000リットルの高度で強力な施設全体をカバーするような殺菌装置を提案しています。
  • UV-C 線量計はモバイル殺菌機やOR(手術室)パッケージのUV-C照射レベルを確認できるカード式線量計です。 特定の菌を殺菌できる強度で目的の場所にUV-C紫外線を照射できたかをカードの色の変化で視覚的にチェックできます。安価で簡単な方法でより確実な殺菌の助けとなります。

国際紫外線協会によるコロナウィルス概況報告書

国際紫外線協会(IUVA) は現在までの殺菌データや経験的実証により、UV殺菌技術はコロナウィルス(COVID-19)、SARS-CoV-2などの感染を減らすいくつかの有効な方法の一つであると考えています。紫外線はこれまで空気、水、表面からの感染リスクを低減すると知られてきました。適切に使用することでコロナウィルスにも効果を発揮すると考えています。 "国際紫外線協は世界各国から専門家を集めUV技術の効果的な使用方法を殺菌の方法として、またはコロナウィルスの感染を抑えるような方法として開発してきました。1999年に非営利団体として発足してから, 常に紫外線殺菌技術が公衆の健康と環境問題に役立つように研究を続けてきました。(ロン・ホフマン医師, トロント大学 教授、国際紫外線協会会長)

"紫外線殺菌 と "紫外線" のように科学や医療、技術文献等に使われているが、UV-Cとして認識されるべきです。UV-Cは 200-280nm の波長の光です。殺菌効果のある波長として、UV-AやUV-Bのような日焼け用ベッドまたは日光のような波長の光とは区別されます。

“UV-C 紫外線はコロナウィルス(COVID-19)の感染を抑制することが出来るのか?”
これまでの証拠と事例により、我々は効果があると考えています。その理由は以下のようです。

UV-C 紫外線はこれまで40年以上にわたり飲料水、下水、薬剤、人間の病原菌のついた物体の表面 などに対する殺菌用途に利用されてきました。全てのバクテリアとウィルスをこれまでに何年もかけて数百種類以上、他のコロナウィルスも含めて検査してきましたが、UV-C紫外線に反応しています。いくつかの微生物はUV-C紫外線に他の微生物に比べてより反応しますが、これまで調べたものは、適切な線量を与えることで全ての微生物はUV-C紫外線に反応すると言えます。

UV-C 殺菌はマルチステップな防衛手法として他の技術と共に行われます。例えば、一つの方法であるフィルタリングやクリーニングによって病原菌が殺菌されない場合に、次なる手段としてUV-C紫外殺菌で 病原菌を無力化させるなどです。このようにUV-C紫外殺菌装置はパンデミックの恐れるクリニックや医療施設等で従来の方法を補足したり、手続きを補強したりするものとして使われています。紫外線、特に 200-280nm(UV-C または 殺菌領域)は少なくとも、コロナウィルス(COVID-19)と類似する二つのコロナウィルスであるSARS-CoV-1と MERS-Coで効果を確認しています。ここで多分に注意したいのは、管理された実験室での殺菌効果の実証であり、研究室外の実際の環境下においてのUV-C 紫外線の効果は露出時間、水中、空気中、もしくは物質の割れ目や表面のウィルスにUV-C紫外線がどの程度まで届くかのようないくつかのファクターが関係することです。コロナウィルス(COVID-19)の感染は汚染された物体の表面や顔の目、口、鼻を触ることと感染者の咳やくしゃみからの飛沫によって感染します。感染リスクを最小限にすることは大変重要なことです。なぜなら、コロナウィルス(COVID-19)は プラスチックや金属の表面で3日間も持続します。通常の清掃や除菌では完全には取り除けない可能性があります。そしてUV-C紫外線殺菌装置は、用心深く殺菌する為の補完的なアプローチとして推奨されています。UV-C 紫外線は、水中に浮遊したコロナウィルス(COVID-19)に非常に近い親戚であるSARS-CoV-1に対して254nmの十分な線量の照射によって高レベルにウィルスの無効化を達成したことを示しています。国際紫外線協会は、コロナウィルス(COVID-19)とSARS-CoV-2においても同様な結果を期待しています。しかし、カギとなるのはUV-C 紫外線をそのような方法で物体の表面から効果的に無効化できるのかどうかです。国際紫外線協会はUV-C 紫外線の効果は空気中や物体の表面にある試料のUV-C 紫外線の吸収特性に影響されるというCDCのガイダンスに賛同しています。微生物のタイプや構造と働きなどにより、効果的な紫外線の線量が異なります。

国際紫外線協会はUV-C 紫外線が届かないような病原体は殺菌出来ないことが分かっています。しかし、一般的には、病原体の総数を減らすことにより、感染のリスクを下げることが出来ます。あらゆる物体の表面に露出している病原菌の総数は、二次的な防衛補法としてUV-C紫外線を照射することによりかなり減らすことが出来ます。これは比較的に単純なことであり、室内にある物体や保護機器の表面や空気にUV-C 紫外線を照射するということです。

UV-C紫外線殺菌装置は安全ですか?

他の殺菌装置と同じようにUV-C 紫外線殺菌装置は安全の為、適切に扱われなければなりません。機種によりUV-C紫外線(200-280nm)の強度は異なります。UV-C 紫外線は通常の太陽光と比べてとても強力な光です。もし、露光してしまった場合、皮膚に酷い日焼けのような炎症を起こしたり、目に損傷を与えたりします。製品によっては、オゾンを発生させたり、光と溶接機のような熱を発生するものもあります。 しかし、全ての殺菌装置には、機械と人間の安全要求は考慮された設計となっており、ユーザーマニュアルやトレーニングも用意されて、適切な安全コンプライアンスは守られています。

UV-C 紫外線殺菌装置にはパフォーマンスの基準・確認手順などが用意されていますか?

広く様々なUV-C紫外線殺菌装置が空気、水、表面向け等として市場で販売されています。統一されたパフォーマンス基準が無く、研究開発のレベルの差が大きいことや、異なる機器でのテスト結果の承認な度が認められ、国際紫外線協会は消費者に向けて注意を呼び掛けています。適切な装置の選定や、第三者機関のテスト結果や安全な機器として、著名な機関(例えばNSF, UL, CSA, DVGW-OVGW)からの正式な認証を得ているかが重要です。
ヘルスケア業界向けの空気中や物体の表面の殺菌UV-C 紫外線殺菌装置の為に、国際紫外線協会は他の国家標準化機関と共に精力的に殺菌技術と検査基準を開発してきました。ゴールは薬が効かないような病原菌、まさにコロナウィルスと戦う世界中の医療従事者がそれぞれの医療施設において最適でベストな技術を採用できるようにガイダンスを開発することです。
国際紫外線協会はもうすぐ紫外線とCOVID-19 に関するホームページを開設します。

参照文献

[i] "Miscellaneous Inactivating Agents - Guideline for Disinfection and Sterilization in Healthcare Facilities (2008);" Centers for Disease Control and Prevention, National Center for Emerging and Zoonotic Infectious Diseases (NCEZID), Division of Healthcare Quality Promotion (DHQP) (https://www.cdc.gov/infectioncontrol/guidelines/disinfection/disinfection-methods/miscellaneous.html )

[ii] "Large-scale preparation of UV-inactivated SARS coronavirus virions for vaccine antigen," Tsunetsugu-Yokota Y et al. Methods Mol Biol. 2008;454:119-26. doi: 10.1007/978-1-59745-181-9_11.

[iii] "Efficacy of an Automated Multiple Emitter Whole-Room Ultraviolet-C Disinfection System Against Coronaviruses MHV and MERS-CoV," Bedell K et al. ICHE 2016 May;37(5):598-9. doi:10.1017/ice.2015.348. Epub 2016 Jan 28.

[iv] "Focus on Surface Disinfection When Fighting COVID-19"; William A. Rutala, PhD, MPH, CIC, David J. Weber, MD, MPH; Infection Control Today, March 20, 2020 (https://www.infectioncontroltoday.com/covid-19/focus-surface-disinfection-when-fighting-covid-19 )

[v] Ibid.

[vi] "Preventing the Spread of Coronavirus Disease 2019 in Homes and Residential Communities"; National Center for Immunization and Respiratory Diseases (NCIRD), Div. of Viral Diseases (https://www.cdc.gov/coronavirus/2019-ncov/hcp/guidance-prevent-spread.html)

[vii] "New coronavirus stable for hours on surfaces"; CDC (extracted from N van Doremalen, et al. Aerosol and surface stability of HCoV-19 (SARS-CoV-2) compared to SARS-CoV-1. The New England Journal of Medicine. DOI: 10.1056/NEJMc2004973 (2020)) (https://www.nih.gov/news-events/news-releases/new-coronavirus-stable-hours-surfaces).

[viii] "Inactivation of SARS coronavirus by means of povidone-iodine, physical conditions and chemical reagents;" Kariwa H et al. Dermatology 2006;212 (Suppl 1): 119 (https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/16490989 )

[ix] "Ultraviolet Radiation and the Work Environment (Revised. See: 74-121)," The National Institute for Occupational Safety and Health (NIOSH), Page last reviewed: March 29, 2017 (https://www.cdc.gov/niosh/docs/73-11005/default.html )

[x] "Pathway to Developing a UV-C Standard ? A Guide to International Standards Development", C. Cameron Miller and Ajit Jillavenkatesa, IUVA News / Vol. 20 No. 4, 2018 [xi] "Healthcare Associated Infections Workshop Advances Development Of Ultraviolet Disinfection Technologies," IUVA Press Release, dated 24 Jan 2020 4:14 PM (http://iuva.org/Projects-Articles-Repository/8672736 )

https://www.cdc.gov/coronavirus/2019-ncov/hcp/ppe-strategy/decontamination-reuse-respirators.html

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